今月の町長日記

2024年4月

町長日記:156日目 4月16日(火曜日)~159日目 4月19日(金曜日)

4月15日から4月19日の5日間、中国に旅行して感じたのは「東アジアの経済は、かなり共通化している」ということだ。経済活動は、IT化とグローバル化によって言語や民族の壁を軽々と飛び越えていく。北京~景徳鎮~上海と回ったが、東京、ソウル、台北、香港などと似た空気感だ。消費行動、お店の外観、若者のファッションなどなど、昔に比べると違いが減って均質化しているように感じた。

中国では現金を一度も使わなかった。ほぼバーコード決裁で完結できる。逆に言えば、生活するうえでスマホは大前提だ。バーコード決裁で無人販売する屋台も見かけた。

バイクは9割以上が電動。既に電動以外は販売していないらしい。自動車も上海では6割以上が電動だという。おそらく、バイクと同様に近く中国政府はガソリン車の販売を禁止するのではないか? 潮目がそろそろ変わりそうな気配だ。ちなみに自動車の屋根はガラスにするのが流行っているようだ。座席はマッサージチェアになっている車もあって驚いた。

中国のエネルギー大手、Energy China社のショールームも見せて頂いたが、スマートシティを通信だけでなく再生可能エネルギーとセットで考え、商機を見出しているようだ。建材一体型の太陽光パネルや、高速道路の風防型の透ける太陽光パネルなど、まちがそのまま発電所になり、スマートグリッドで交流に変換せず直流のまま地産地消できる未来も見据えていた。

豊かになった中国では、既に物量から生活の質へと需要が移っていた。車も家も食事も包装も高級感が好まれる。日本よりも派手でゴージャスな商品が多い。一方で、環境意識や健康意識も高まり、エシカルやLOHAS的な製品や広告も目にした。

ちなみに小便器の標語に昔ながらの中国を感じて嬉しかった。あと、新幹線の改札は、日本でいうところのマイナンバーカードを通さないと出られない仕組みだった。個人の管理が徹底しているが、これは日本ではやるべきではないだろう。

真鶴への直接的な持ち帰りはないが、刺激を受けて帰ってきた。

町長日記:155日目 4月15日(月曜日)

今日、『真鶴データブック2023 ~RESASで見た町のいま~』を上梓した。国が提供する地域経済分析システムのRESASを使って、真鶴とはどんな町なのか、真鶴は今どのような状況なのか、見える化したものだ。

とはいっても、私が制作したものではない。「予算6万円で1カ月で作れ!」と無茶ぶりしたら職員が作ってくれた。別にデータ分析を学んできたわけではない一般職員と単年度職員の2名がRESAS講習会3万円に行って学んできて、調整に1カ月以上かかって年度をまたいでしまったものの、昔だったらコンサルに頼んで作っていたようなレポートを自分たちで作り上げてくれた。町長が遊んでいても、町役場はちゃんと回っている。

https://www.town.manazuru.kanagawa.jp/.../ManazuruDataboo...

「真鶴は石材と漁業の町というより勤め人の町だった!」とか「実はコロナ禍前より宿泊客が増えている!」といった目からウロコの気付きがある。どうぞご覧頂きたい。

町長日記:154日目 4月14日(日曜日)

今日は明日からの渡航に備えて、25年前に第2外国語として習った中国語を思い出しながら、その実、ほとんどをネット翻訳に頼りながら、真鶴町を中国語で紹介する資料を作成した。

仕事ではなく私費旅行とはいえ瓢箪から駒があるかもしれないので、名刺代わりに持っていくことにした。「美術館のパトロンになってあげましょう」とか「石切り場跡に工場でも作りましょうか」といった話が転がり込んでくれないかしら。

町長日記:153日目 4月13日(土曜日)

昨日、阿部司代議士から「衆議院内閣委員会で小林さんの手掛けた交通事故多発地点をWebで見られるサービスを引き合いに質問した」旨を教えて頂いたので、拝聴した。

https://public.tableau.com/.../2019to2021_16612593934870/2

上記でたとえば真鶴町を選択して見て頂くと、半島方面ではほとんど事故がなく、駅前に集中していることがわかる。このデータを基に、町でも駅前交差点の改良に向けて県と調整を始めたところだ。

一方で、これはあくまでも、警察庁のオープンデータを基に小林伸行という個人が勝手に提供しているに過ぎない。しかも、今は町長になってしまったので、データの更新をする時間もとれない。だからこそ、阿部代議士は警察庁による自治体や一般国民も利用できるWebサービスでのデータ活用を提起なさっていて、前向きな答弁を引き出していた。私の小さな仕事が、国を動かす一つの素材に使われたことは誇らしいし、効果的な対策により事故が一件でも減ることを期待している。

2024年4月12日衆議院内閣委員会での阿部司代議士の質問は、下記より。該当部分の質疑は2時10分25秒ごろから3分ほどなので、よろしければご覧頂きたい。

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&media_type=&deli_id=55138&time=6541.9

町長日記:152日目 4月12日(金曜日)

来週はお休みを頂いて海外旅行に行くので、今日は午後からビザを取りに来た。

ところで役場の隣にあるラーメン真で先日食べた味付け干鱈があまりに美味しかったので、また食べたいと思っていたところ、現在連載中の洪采植氏の神奈川新聞「わが人生」の述懐の中で、干したタラにゴマ油と唐辛子で味付けしたお袋の味を「明太(ミョンテ)」と紹介していた。同じものかと思って、おかみさんに「ミョンテはありますか?」と聞いて出してもらったら、はたして先日食べた美味しい干鱈だった。

さて話が逸れるが、「明太」の子どもだから「明太子」なのではないだろうか? そう感じて調べたところ、どうもそのようらしい。中国語でスケトウダラのことを「明太(ミンタイ)」と呼ぶという。これが韓国語では「ミョンテ」になり、日本語では「メンタイ」になったようだ。だから「明太子」は音読みで「メイタイシ」ではなく、中国語が訛った「メンタイ」+訓読みの「コ」と呼ぶようになったのだろう。

というわけで、頂いて帰ったミョンテは昨日の夕食に美味しく頂いた。

以上が枕で、今日は長くなるが文化論の話をしたい。

今日の午前中、来週から私が中国旅行に行くことを聞きつけた町民の方から抗議の電話を受けた。曰く「町長という立場にありながら、町を離れて海外視察に行くなんて許されるのか? 事前に町民に報告すべきだ。しかも、中国なんて行かなくても、日本には優れた技術や制度がある。説明責任を果たせ」云々という内容だ。

まず断っておくが、今回はプライベートでの私費旅行だ。休日に私が何をしようが、どうこう言われる筋合いはない。また、私はこれまでにも何度か休日をとっている。「一日でも休むなら町民に報告せよ」とでも言うのか? そもそも、私は特別職なので、役場に毎日行かなくてもいい立場だ。だが、就任から5カ月経ったが、仕事を一切しなかった日など一日たりともない。町長というのはそういう仕事だ。

もちろん、休んでいる間に地震など災害が起こる可能性はある。ただし、職務代理を立てればその人が指揮を執ることになる。もしも副町長不在の状況であれば、4泊5日の旅行には行かなかったろう。しかし、今は頼れる副町長を選任できている。だから安心して町を離れられる。

そして、抗議の中で最も気になったのが、「中国なんて行かなくても、日本には優れた技術や制度が……」というくだりだ。私は、13歳で初めて海外に行き、成人後もお金を貯めては短期留学や旅行を重ねてきた。政治家になってからの14年間は毎年のように海外を訪ねている。遊びを兼ねた自己投資だ。この30年あまりの変化を見ると「もはや日本は後進国になってしまった」と感じている。しかし、あまり海外に目を向けないで暮らしている方々には、まだまだ日本は先進国なのだと固く信じている方も少なくないように思う。

かつて、江戸時代には鎖国して海外との貿易を制限していた。しかし、欧米と戦った長州藩や薩摩藩は彼我の国力の差をまざまざと感じて、むしろ貿易をしてその文物を取り入れた。それが明治維新につながり、明治政府は「脱亜入欧」「和魂洋才」で欧米文化を積極的に採り入れて大きく国力を伸ばし、日本は列強の一角に数えられるまでになった。

徳川幕府も欧米の知見を取り入れてはいたものの、まだまだ「尊王攘夷」が幅を利かせていた。欧米文化を導入しようとすれば「毛唐かぶれ」と呼ばれるなどし、一方で朱子学や漢籍など中国由来の文物は社会の基調だった。

実は、今の日本はまさにこの状態にあると見ている。

太平洋戦争で敗戦した日本は米国の統治下に置かれた。これにより、政治・文化・生活様式から地方自治制度に至るまで、米国型のモデルを採用することとなった。かつて世界の超大国だった中国からあらゆるものを取り入れたのと全く同じように、現在の超大国である米国の文物を価値判断の基準としている。そして、義務教育課程から外国語を学んでいるのに、ほとんどの国民が実用的な外国語を話せないという一種の「鎖国」状態によって、現代日本は世界の変化から取り残されてしまった。かつての中国と同じように、米国は絶対的な超大国の座から降りようとしており、韓国、インド、台湾、中国といった国々の存在感が増している。もちろん、中国を除いてそれらの国々は超大国となることはないかもしれないが、大航海時代において造船や貿易が支配的な実力を裏打ちしたように、ITやeコマースに裏打ちされた国力でキラリと光るものがある。

いま必要なのは、「脱米入亜」と「和魂亜才」ではないか? 日本が没落し国力が衰えたことを素直に認め、先進国である韓国・台湾・中国などの文物に謙虚に学ぶのだ。PayPayや楽天Payなどのバーコード決済は中国に何年遅れたか? マイナンバーは韓国に何年遅れたか? 日本に顔認証で買い物ができるお店はどれだけあるか? 無人コンビニがどれだけあるか? AIカメラとセンサーで管理している街がどれだけあるか?

私は先進国に遊学して知見を真鶴に持ち帰り、日本の勝ち筋の先進例をつくりたい。

町長日記:151日目 4月11日(木曜日)

今日は、独りで予算の「再査定」をした。

既に編成した予算2024は議決されているが、予算通り使ってしまうとタンス預金(財政調整基金)に手を付けることになる。虎の子のお金をタンスに戻すために、執行すべきかどうかもう一度精査するのだ。

役場にいると決裁や相談が舞い込んできて集中できないため、町内の喫茶店Glideさんで1時間半粘り、情報センターでも1時間半粘った。

しかし、こうやってノマドで働くのもいいな。やはり滞在してみて気付くこともある。情報センターでは、職員や来館者から様々なご提案を頂いた。「BGMがあったほうがいい」「ツバメの糞が……」「パンを売ってるので、コーヒーマシンも欲しい」等々。できるものから反映していきたい。ちなみに、情報センターのテーブルには、雰囲気を出すためにテーブルクロスを敷いてもらった。ちょっと居心地良くなったので気軽なサードプレイスとしてご利用頂きたい。

ちなみに、Glideさんでは向かいの和菓子やないさんで買ったものを持ち込んで淹れたての緑茶と楽しんでもいいらしい。すばらしい民民連携。今度はそうしよう。

町長日記:150日目 4月10日(水曜日)

今日、最後の面談が終わった。おおまかに、組織運営上の課題は副町長にどんどん対応頂いており、政策やDX系の提言などは私のほうで対応しているが、面談をしたら本当に仕事がたくさん増えた。でもこれは必要な過程だ。

午後には、琴ヶ浜を視察してきた。

琴ヶ浜は、GWになると一枚目の写真のようになってしまうのだという。ちなみに、ここはテントもBBQも禁止だ。今月末のGWまでに何とか対策できないか考えていたが、県との調整は整わなかった。おそらく今年も無法状態になるかもしれないが、既に4月1日からは琴ヶ浜を含む真鶴港の管理者は県に戻っている。

私としては引き続き、町民や町内事業者のためにゴミや騒音や密漁がきちんと管理される手法を県に提案していく。同時に、琴ヶ浜の陸側町有地もあわせた活用策を模索していく。何とか夏のシーズンには間に合わせたい。

町長日記:149日目 4月9日(火曜日)

今日も事務作業をこなした。終業後には役場の有志でスタジオに集って音出しして遊んだ。かつては町役場にも様々なサークルがあったらしいが、今はないという。軽音サークルもいいな。

夜には、はんば(ハバノリ)を食べた。「味噌汁に入れるんじゃなくて、炙って手でもんでご飯に乗せて鰹節と醤油をかけて食べるのが真鶴流」と聞いて試したが、確かにこのほうがはるかに旨い。

町長日記:148日目 4月8日(月曜日)

来週から海外に私費で視察旅行に行くため、午前中はビザの申請に行ってきた。

午後は事務作業等をした。「事を為すには事務が大事」と習ったことがある。どれだけ天下国家を語っても、それを紙に書き出して人に伝達しないと動かない。社会は、事務作業で回っている。凡事徹底。

町長日記:147日目 4月7日(日曜日)

お世話になった方の所で葬儀があり、参列してきた。

真鶴町が運営する真鶴聖苑の中にも初めて足を運んだ。人の最後のときをお送りする場所として、とても落ち着いていて気配りのされた施設だと感じた。喫煙所と自販機のペットボトル無しもチェック。

町長日記:146日目 4月6日(土曜日)

今日は「しだれ桜の宴」を楽しんだ後、空いていたので情報センターへドラムを叩きに行った。

1階ロビーに中学生がいたので「良かったらドラムとかベースとか弾いてみる?」と誘ってみたところ「面白そう」と3名で合流。初めての運動部の子たちにゼロから教えたが、1時間で8ビートが刻めるようになり、簡単な音合わせもできてしまった。子どもたちは吸収が早い。

仕事ばかりだと息が詰まるから、軽音部でも立ち上げたいな。

町長日記:144日目 4月4日(木曜日)

副町長と防災係職員と一緒に町内の全ての防災倉庫を視察してきた。

案の定、備品リストと実際の物品には食い違いが見られた。朽ちて雨漏りし、中の物品が痛んでいる倉庫もあった。もはや古すぎて使い途が思い当たらない物品もあった。整理が必要だ。備品リストは自分で手を動かしてデータベース化した。今後、精査したうえでオープンデータ化するよう指示した。

一方で、人口に比べて備蓄品の物量はかなり恵まれた町だとも感じた。あとはこれを、実際に避難した場合を想定した適正な配置にしていく必要がある。物事を片付けるために、一時的に仕事が増えていく。職員には申し訳ないが、一緒に頼むよ。

町長日記:143日目 4月3日(水曜日)

職員面談を行い、合間に町内の亡くなった石工さんの作品を見せてもらってきた。あの硬い石が、柔らかな造形の仏様の姿になるなんて、本当にすごいことだと思う。民間のお力を借りて残せたらいいなあ。

町長日記:142日目 4月2日(火曜日)

職員面談を行い、幹部会議を行った。面談の中から、仕事をごっそり減らして職員を楽にするための様々なポイントが見えてくる。自分の仕事は増える。

町長日記:141日目 4月1日(月曜日)

今日は朝礼を行い、職員の前で長々としゃべった。職員を拘束するのが嫌なので、当初は文章をグループウェアで回してもらえばいいかと思ったのだが、人事課長から「きちんと口頭で伝えたほうがいい」と諭されたのだ。今日4月1日の人事が、なぜこうなったのか? 人事に正解はないだけに、せめて納得感を持ってもらえたらと思う。

午前中は職員面談をし、午後には様々な案件を片付け、夕方には企画書を書いた。

役場入口の屋根もサビが目立っていたのを、庶務係が手配して塗りなおしてくれた。お客様を迎える顔になり、桜も新年度に彩を添えてくれた。

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更新日:2024年02月08日