○真鶴町まちづくり条例
平成5年6月16日条例第6号
真鶴町まちづくり条例
目次
第1章 総則(第1条~第7条)
第2章 まちづくり計画(第8条~第11条)
第3章 建設行為の基準(第12条~第14条)
第4章 建設行為の手続(第15条~第25条)
第5章 まちづくりの推進(第26条~第29条)
第6章 雑則(第30条・第31条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、真鶴町総合計画に基づき、真鶴町の豊かで自然に恵まれた美しいまちづくりを行うため、建設行為の規制と誘導に関し基本的な事項を定めることにより、町民の健康で文化的な生活の維持及び向上を図ることを目的とする。
(基本理念)
第2条 真鶴町は、古来より青い海と輝く緑に恵まれた、美しく豊かな町である。
町民は、これまでこの資産を守り、これを活かしつつ、この町に独自な自然環境、生活環境及び歴史的文化的環境を形成してきた。
環境に係わるあらゆる行為は、この環境の保全及び創造に貢献し、町民の福祉の向上に寄与しなければならない。
(用語の定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「建基法」という。)第2条第1号に定める建築物をいう。
(2) 建築 建基法第2条第13号に定める建築をいう。
(3) 建設行為 建築物その他工作物(以下「建築物等」という。)を建築する行為、土地の区画形質を変更する行為又は現状の土地利用を著しく変更する行為をいう。
(4) 斜面山林 傾斜度が15度以上の山林をいう。
(5) 急傾斜地 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第2条第1項に定める土地をいう。
(6) 町民 町内に住所を有する者をいう。
(7) 町民等 町民、町内の居住者及び滞在者並びに土地又は建築物等の所有者又は占有者をいう。
(8) 建設行為者 建設行為を行おうとする者をいう。
(9) まちづくり 良好な自然環境、町民が健康で安心かつ快適な生活を営む環境及び歴史的文化的環境を保全し、又は創造することをいう。
(10) 自然環境 生態系を含む自然資源(山岳、河川、海、磯、浜、樹林地、草地)及びその景観をいう。
(11) 生活環境 町民等の健康、生命及び財産に密接に係わる日常生活上の状態をいう。
(12) 歴史的文化的環境 史跡、名勝、天然記念物、伝承等歴史的発展の上に重要な意義を持ち、又は文化活動の進展に密接な係わりを持つ地域又は状態をいう。
(13) 建設区域 建設行為を行う土地の区域をいう。
(14) 公共公益施設 公園、緑地、駐車施設、消防施設、道路、上水道施設、排水施設、環境衛生施設、広場、河川、海岸、水路、砂防施設、教育施設、医療施設、交通安全施設、社会福祉施設等の公共公益の用に供する施設(土地を含む。)をいう。
(15) 近隣関係者 建設区域の付近に土地又は建築物等を有する所有者及び占有者で、規則で定める区域内の関係者をいう。
(16) 地区計画等 都市計画法(昭和43年法律第100号。以下「都計法」という。)第12条の4第1項各号に掲げる地区計画、再開発地区計画、沿道整備計画及び集落地区計画をいう。
(17) 建築協定 建基法第69条に規定する建築協定をいう。
(責務)
第4条 町、町民等及び建設行為者は、まちづくりを推進するために、それぞれ次の責務を果たすものとする。
(1) 町の責務
ア 町は、この条例の目的を達成するためにまちづくり計画を定め、かつこれを実施するために必要な措置を講じること。
イ 町は、建設行為者による建設行為が行われる場合、まちづくりを推進するために適切な指導及び援助を行うこと。
(2) 建設行為者の責務
建設行為者は、建設行為を行うに当たって、まちづくりに必要な措置を講じるとともに、この条例の目的を達成するために町が行う施策に協力すること。
(3) 町民等の責務
町民等は、まちづくりを行うよう自ら努めるとともに、この条例の目的を達成するために町が行う施策に協力すること。
(適用区域)
第5条 この条例は、真鶴町全域について適用するものとする。
(適用対象)
第6条 第8条に定めるまちづくり計画、第9条に定める土地利用規制規準等及び第10条に定める美の原則はすべての建設行為に適用される。
2 第3章建設行為の基準、第4章建設行為の手続は、次の各号に定める建設行為に適用される。ただし、主として自己の居住の用に供するための住宅の建設行為は除く。
(1) 土地の区画形質を変更する行為又は現状の土地利用を著しく変更する行為で、その面積が300平方メートル以上のもの
(2) 斜面の直高が10メートル以上の急傾斜地における土地の区画形質を変更する行為又は現状の土地利用を著しく変更する行為
(3) 次のいずれかに該当する建築物等の建築に係る行為
ア 建築物の高さ(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第2条第1項第6号)が10メートル以上又は3階建以上(地階を含む。)のもの
イ 建築物の延べ面積が200平方メートル以上のもの
ウ 特殊建築物(建基法第2条第2号)で2階建以上かつ敷地面積が300平方メートル以上のもの
エ その他町長がまちづくりを行うにあたって重大な影響があると認める工作物
(4) 同一建設行為者が施工中又は施工後3年以内の建設区域に接続して更に建設行為を行う場合は一つの建設行為とみなし、当該建設行為が前各号のいずれかに該当するもの
(適用除外)
第7条 国、地方公共団体等が公共目的で行う建設行為については前条の適用から除外し、町長と協議するものとする。
第2章 まちづくり計画
(まちづくり計画)
第8条 町は、第2条の基本理念を実現するため、まちづくり計画を定めるものとする。
2 まちづくり計画には、次の事項を定めなければならない。
(1) 都市計画の目標及び方針
(2) 土地利用の方針及び地区別整備方針
(3) 建築物の整備・誘導の方針及び意匠
(4) 住宅建設の誘導及び住環境の整備・誘導の方針
(5) 市街地の開発及び再開発の方針
(6) 道路、下水道その他都市施設の整備方針
(7) 市街地整備の目標年次
(8) 自然環境、緑地の保全及び公共空地等の整備の方針
(9) 公害防止又は環境改善の方針
(10) 都市防災に関する方針
(11) その他町が必要と認める事項
3 まちづくり計画は、概要図及び計画書により表示しなければならない。
4 まちづくり計画は、真鶴町総合計画と調和したものでなければならない。
5 町は、まちづくり計画の案を作成しようとするときは、公聴会の開催その他の町民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。
6 町は、まちづくり計画を決定しようとするときは、その旨を公告し、まちづくり計画の案を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
7 前項による公告があったときは、町民は同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供されたまちづくり計画の案について、町に意見書を提出することができる。
8 町は、前項により提出された意見書の処理の結果についての報告書を作成し、当該報告書を作成した日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。
9 町は、まちづくり計画を決定するときは、議会の議決を経なければならない。
(土地利用規制規準並びに保全区域及び誘導区域)
第9条 町は、まちづくりを推進するため、第11条に定める真鶴町まちづくり審議会(同条第1項を除き以下「審議会」という。)の議を経て、規則により土地利用規制にかかわる地区区分、土地利用の方針、建ぺい率、容積率、建築物の用途の制限、高さの最高限度、敷地面積の最小限度及び壁面の後退(以下「土地利用規制規準」という。)を定めることができる。
2 土地利用規制規準を変更又は廃止するときは、審議会の議を経なければならない。
3 町は、特に必要があると認めるときは、審議会の議を経て第8条に定めるまちづくり計画に基づき、建設行為を抑制する区域(以下「保全区域」という。)及び建設行為を誘導する区域(以下「誘導区域」という。)を定めることができる。
4 保全区域は、次の各号のいずれかに該当する区域で、審議会の同意がなければ建設行為を抑制するものとする。ただし、町長が必要と認めたときはこの限りではない。
(1) 貴重な自然状態を保ち、又は学術上重要な意義を有する山岳、河川、海岸、森林、草地、斜面山林等を含む地域のうち、自然環境を保全することが必要な地区
(2) 歴史的文化的に特色のある地域で、特に保全することが必要と認められる地区
(3) その他町長が景観保全上特に必要と認める地区
5 誘導区域は、町が審議会の同意を得て、建設行為を誘導するものとする。
6 保全区域及び誘導区域は、規則で定める。
(美の原則)
第10条 町は、まちづくり計画に基づいて、自然環境、生活環境及び歴史的文化的環境を守り、かつ発展させるために、次の各号に掲げる美の原則に配慮するものとし、その基準については規則で定める。
(1) 場所 建築は場所を尊重し、風景を支配しないようにしなければならない。
(2) 格づけ 建築は私たちの場所の記憶を再現し、私たちの町を表現するものである。
(3) 尺度 すべての物の基準は人間である。建築はまず人間の大きさと調和した比率をもち、次に周囲の建物を尊重しなければならない。
(4) 調和 建築は青い海と輝く緑の自然に調和し、かつ町全体と調和しなければならない。
(5) 材料 建築は町の材料を活かして作らなければならない。
(6) 装飾と芸術 建築には装飾が必要であり、私たちは町に独自な装飾を作り出す。芸術は人の心を豊かにする。建築は芸術と一体化しなければならない。
(7) コミュニティ 建築は人々のコミュニティを守り育てるためにある。人々は建築に参加するべきであり、コミュニティを守り育てる権利と義務を有する。
(8) 眺め 建築は人々の眺めの中にあり、美しい眺めを育てるためにあらゆる努力をしなければならない。
(まちづくり審議会)
第11条 町は、まちづくりに関する重要事項を調査、審議させるため、真鶴町まちづくり審議会を設置する。
2 審議会は、この条例において審議会の議を経ることとされているもののほか、町長の諮問に応じてまちづくりに必要な事項を調査し、又は審議し、町長に答申するものとする。
3 町民等は、審議会に対し、まちづくりに関する意見を述べ、又は提案をすることができる。
4 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第3章 建設行為の基準
(公共公益施設の整備と管理及び帰属)
第12条 建設行為者は、第6条第2項に規定する建設行為を行おうとするときは、まちづくり計画を実施するために必要な次の各号に掲げる公共公益施設の整備について、町と協議しなければならない。
(1) 公園及び緑地
(2) 駐車施設
(3) 消防施設
(4) 道路
(5) 上水道施設
(6) 排水施設
(7) 環境衛生施設
(8) その他の公共公益施設
2 前項の公共公益施設の整備について、必要となる用地及び費用等の負担並びに基準等については規則で定める。
3 この条例により建設行為者が設置した公共公益施設の帰属主体、帰属時期、管理主体及び管理形態等については町と建設行為者が協議して決定する。
(文化財の保護)
第13条 建設行為者は、建設区域内に文化財等がある場合、又は発見した場合は、町教育委員会の指示に従い、文化財保護法(昭和25年法律第214号)の定めるところにより、その保護措置等を行わなければならない。
(日照の確保、電波障害等の除去及び被害の防止)
第14条 建設行為者は、建設行為を行おうとするときは、隣接地等に日照が充分に確保されるよう計画しなければならない。
2 建設行為者は、建設行為によって電波障害等の発生のおそれのあるときは、事前に必要な措置を講じるとともに将来にわたり解決を図るものとする。
3 建設行為者は、前2項の規定にかかわらず建設行為中に被害が発生し、又は発生するおそれがあると認めた場合には工事を中止してその原因除去に努めなければならない。
4 建設行為者は、工事が完了した後において被害が発生し、その原因が当該建設行為によると認められる場合には、その補償及び改修は建設行為者自らの責任において負担するものとする。
第4章 建設行為の手続
(建設行為の届出)
第15条 建設行為者は、第6条第2項に規定する建設行為を行おうとするときは、規則で定める建設行為届出書を町長に提出しなければならない。
2 前項の規定は、建設行為者が建設行為を変更しようとするときに準用する。
(事前公開)
第16条 建設行為者は、前条に定める届出の後、当該建設行為について事前に町民等に公開しなければならない。
2 建設行為者は、当該建設行為の公開にあたっては、規則で定める標識を当該建設行為予定地内の見やすい場所に設置しなければならない。
(説明会等の開催)
第17条 建設行為者は、近隣関係者及び当該建設行為により著しく利害を有する者(以下「利害関係者」という。)に対し、計画の内容、工事施工方法等について説明会等を開催し、協議しなければならない。
2 建設行為者は、前項に定める説明会等を行ったときは、その記録を町長に提出しなければならない。
3 建設行為者は、第1項の協議により必要が生じた場合は、近隣関係者及び利害関係者と協定を締結しなければならない。
(事前協議)
第18条 建設行為者は、第15条に定める届出の後、前条の説明会等と並行し、又は説明会等の後に、規則で定める建設行為事前協議申請書を町長に提出し、協議しなければならない。
2 町長は、前項の協議に際し、第8条に定めるまちづくり計画及び第9条に定める土地利用規制規準等並びに第3章に定める建設行為の基準に基づき、期限を定めて必要な措置を講じるよう指導し、又は勧告することができる。
3 町長は、必要があると認めた場合、第1項の協議が整ったものについて速やかに建設行為者と当該建設行為の協定を締結するものとする。
(工事着手及び工事完了の届出)
第19条 建設行為者は、建設行為に着手するときは、規則で定める工事着手届を、あらかじめ、町長に提出するものとする。
2 建設行為者は、建設行為が完了したときは、規則で定める工事完了届を速やかに町長に提出し、検査を受けるものとする。
(報告及び調査)
第20条 町長は、特に必要があると認めるときは、建設行為者に対し当該建設行為の実施状況その他必要な報告を求め、又は所属職員をして当該建設行為の実施場所に立ち入らせ、調査をさせることができる。
(効力の失効)
第21条 第18条第3項の協定の締結の日から起算して1年以内に建設行為に関する工事が着手されない場合は、当該協定はその効力を失うものとする。
(公聴会の開催)
第22条 町長は、第15条に定める建設行為の届出を受けた建設行為について、特にまちづくりに重大な影響があると認めるときは、審議会の議を経て真鶴町まちづくり公聴会(以下「公聴会」という。)を開催することができる。
2 町民は、町長に対し町民の20歳以上の者の20分の1以上の連署をもって、建設行為者の建設行為について公聴会の開催を請求することができる。
3 建設行為者は、町長に対し、第15条に定める建設行為の届出を行った建設行為について公聴会の開催を請求することができる。
4 町長は前2項の請求があった場合、公聴会を開催しなければならない。
5 公聴会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(報告書の作成及び不服申し立て)
第23条 町長は、前条の規定による公聴会を開催したときは、速やかに建設行為の当否について規則で定める報告書を作成し、当該報告書を作成した日から2週間縦覧に供しなければならない。
2 町民及び建設行為者は、前項の報告書の内容に不服がある場合は、議会に対し建設行為の当否について書面による意見を附した上、議会の議決を請求することができる。
3 町長は、前項の建設行為の当否について議会の議決がされた場合、これを尊重しなければならない。
4 町長は、特に必要があると認めるときは、議会に対し第1項の報告書を提出した上、議会の意見を求めることができる。
(公表)
第24条 町長は、建設行為者が次の各号のいずれかに該当したときは、その旨及び当該建設行為者の氏名を公表すことができる。
(1) 第9条の規定による保全区域内の建設行為の抑制に応じないとき。
(2) 第15条の規定による届出をしないとき。
(3) 第18条第1項による協議を行わないとき。
(4) 第18条第2項の規定による指導、勧告を受けた建設行為者で、定められた期限内に必要な措置をとらないとき。
(条例の不履行に対する措置)
第25条 町長は、前条の規定に該当する建設行為者及び第23条に定める議会の議決を尊重しない建設行為者に対し、町の必要な協力を行わないことができる。
第5章 まちづくりの推進
(まちづくり組織への支援等)
第26条 町民等は、地区のまちづくりを推進することを目的として、町民等で構成する組織を設立するための支援を町長に要請することができる。
2 町長は、前項の要請が地区のまちづくりを推進することを目的としたものであると認めた場合、組織を設立するための支援をすることができる。
3 町長は、町民等が第1項の組織を設立し、この組織が当該地区を代表するものであると認められるときは、この組織を地区まちづくり協議会として認定し、技術的支援、資金的支援その他の支援を行うものとする。
4 地区まちづくり協議会は、地区のまちづくりを推進するための地区まちづくり協定を定め、町長に提案することができる。
5 町長は、前項の提案が第8条に定めるまちづくり計画に合致すると認められる場合には、地区まちづくり計画としてこれを定め、地区計画等及び建築協定のほか、地区のまちづくりに関する制度の活用を図るものとする。
6 町長は、前項の地区まちづくり計画を実現するため第3項に定める支援のほか、必要な措置を講じるものとする。
7 町長は、特に地区のまちづくりを推進する必要があると認める地区について、地区まちづくり協議会の育成に努めるとともに、開発の誘導等必要な措置を講じるものとする。
第27条 町は、地区のまちづくりを推進するために、都計法第16条第2項に基づく地区計画等に関する条例及び建基法第69条に基づく建築協定に関する条例を別に定めるものとする。
(表彰)
第28条 町長は、良好なまちづくりに著しく寄与したと認められる町民等、建設行為者及び団体等に対し、審議会の同意を得て、その功績を表彰することができる。
(助成措置)
第29条 町長は、良好なまちづくりに寄与していると認められる事業、団体等に対し、予算の範囲内において別に定めるところにより、必要な助成を行うことができる。
第6章 雑則
(緑地保全への貢献)
(委任)
第31条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は町長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成6年1月1日から施行する。ただし、第9条、第10条及び第11条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置の委任)
2 この条例の施行に関し必要な経過措置は、規則で定める。